子供の頃は友達が沢山いたが、今は1人もいない。 友達が1人もいなくなった理由は分かっている、私が友達から借金をしたからだ。 親に心配を掛けたくなかったため、友達にお金を借りる際、親には黙っておくことをお願いすると、友達は理解してくれたのだが、友達にお金を借りたことは、他の友達の間にあっという間に広がった。 お金を借りたことを、他の友達に言いふらす友達が悪いのか? それとも、友達にお金を借りた私が悪いのか? この時、私が思ったのは、心配を掛けたくない親にはお金を借りず、友達にはお金を借りたこと。 友達なら、心配を掛けて良かったのか? 友達は、私の親と自分を天秤にかけられたと、思ったのかもしれない。 借りたお金は返したのだが、友達の間で、私だけ壁が出来てしまった。 この壁は、20数年経っても変わらない。 昔を懐かしみ、友達が今、何をしているのかネット検索したら、友達は高校のクラス会に参加していた。 友達の間で壁が出来ると、私はクラス会にも呼ばれなくなった。 自分が映っていないクラス会の写真を見た時は、メッチャ悲しかった。 クラス会に参加した者のコメントに、私のことは一切なかった。 友達に借りたのは、仕事の失敗を穴埋めする70万円。 70万円を仕事の穴埋めに使った立証が出来ないのは、働いていた会社をリストラされたからだ。 厚みにすると、1センチにも満たない70万円だが、私の人生を大きく変えてしまった。 皮肉なことに、リストラ時に支払われた退職金も70万円。 一緒にリストラされた同僚が、子供の入学金でいるとの理由で、「お金を貸してくれ」と言ってきた。 貸せるわけないだろ、私だって苦しいのだから。 この気持ちが分かっていれば、昔、友達にお金を借りずに済んだかもしれない。