物心ついた頃には、父は母との結婚前に借金があったことは聞かされていました。母が肩代わりして結婚したことも。
高校生の頃、父のキャッシングが発覚。嘘で誤魔化している父に、とても冷めた気持ちでした。昔からやっている、当たる気配のない競馬をやっているんだと思っていました。
大学生になり実家を離れた後、父が亡くなりました。
消費者金融への借金が200万円程あったそうです。財布から明細がでてきました。父の様子から、いつかこんなことになる気はしていました。どこか、ずっとおかしかったんです。お金の使い道は、パチンコと、競馬の当たり馬券を教えてくれる、みたいな詐欺。そこまで落ちていた父にがっかりしました。
母は司法書士さんに相談しました。すると、これまでの自転車操業で、過払金がかなりあったそうで、200万円は返済しなくてよくなったそうです。それでも、その返済義務がなくなる数年、母はどこか気を抜けずに過ごしていたようです。
日本では依存症に対する更生プログラムをあまり聞きません。海外ドラマを見ていると、活発に行われています。日本でも、もっとこういう風潮があったら、父は救われたのだろうか?と思います。
当時の私はまだ未成年で、自分のことで精一杯、父を救うために何かできるだろうかなんて、考えたこともありませんでした。後から考えて、自分を責めるのも辛いので、父は辛い現実から無事に逃げることに成功した、よかったんだと思うようにしています。あれから何年経っても、カジノについては議論されているのに、そこに溺れる人の救済については議論されない日本においては、これからも同じようなことが起こるんだろうなと思いながらも、反面教師にして生きることしかできていません。